新所得連動型奨学金 [奨学金と教育ローン]

新所得連動型奨学金 [奨学金と教育ローン]

奨学金の返還額を所得に連動させる新制度が決まりました。《新 所得連動変換型奨学金》
教育ローンと奨学金併用で進学を考えている方も少なくありません。
どうやって返していくか、その返済方法が重要な問題です
 
このページの目次

 

 

 

 

 

 

 

奨学金 新制度始まる
所得連動変換型奨学金/平成29年度予約採用

奨学金を利用する学生は増えています。
"奨学金"とはいえ、多くは日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金です。
無利子のタイプもありますが、有利子・無利子何れにしましても、卒業後は返済しなければなりません

 

 

奨学金

アメリカなどでは、卒業後に返済しなければならないものは奨学金ではなく"教育ローン(学生ローン)"と捉えています。
"奨学金"(スカラシップscholarship)といえば通常は返済不要です。もちろん学業優秀な学生が対象です。
日本にも返済不要の文字通りの"奨学金"も、無くはありません。
(参考⇒ 教育ローンと奨学金の違い と種類)

 

 申しましたように、アメリカでも返済不要給付型の奨学金を得ることが出来るのは成績優秀な学生ですから、多くの学生は教育ローン(学生ローン)を借りている現状です。
大学や大学院の授業料はかなり高くその負担は社会問題になっています。
大統領候補戦に破れましたがバーニー・サンダース候補は、公立大学における『授業料の無償化』を政策として掲げ、若者たちから多くの支持をあつめていたのはご存知のとおりです。

 

 話がそれてまいりましたが、申し上げたいのは
奨学金とは申せ、返済が必要ならば実際は「教育ローン」同様であるということです。

 

 日本でも今や高卒者の5割以上が大学へ進む時代です。
親の収入低下などの経済的理由で進学を断念する学生もいます。
あるいは、卒業後の奨学金返済が重荷となり、生活に困難をきわめ返せないケースも目立ってきています。

 

日本学生支援機構の調査によりますと、延滞期間が3カ月以上で、個人信用情報機関に登録された件数(いわゆるブラックリスト入り)は2014度で約1万7千件に上るそうです。

 

奨学金の返済が終わるメドがつくまで結婚は出来ないと考える人が少なからずいるそうです。それが日本の少子化にまで繋がるのでは、と考える人もいます。

 

 

予てより文部科学省では、奨学金の返済額を、所得に連動させる制度を検討してきました。
先ごろ文科省の所得連動返還型奨学金制度有識者会議(座長:小林雅之東大教授)によりその概要が決まりました。

 

《新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について(第一次まとめ)》//goo.gl/WnCHWR

 

新・所得連動返還型奨学金制度を2017年度導入

 

「新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について(第一次まとめ)」を元に、
かいつまんでこの新制度をご紹介します。

奨学金

新制度は
定額返還型(現行制度)と
新所得連動返還型のいずれかをえらぶことが出来ます。
新所得連動返還型は年収に応じて返還の月額が決定します。

 

現行制度(定額返還型)は
本人の年収が300万円になるまでは、申請により返還期間が猶予(通算10年※)、というものです。
※奨学金申し込み時に、家計支持者(保護者等)の年収が300万円以下の場合は、返還猶予の期間制限はなし。

 

新制度も今のところ無利子奨学金のみが対象です。
有利子奨学金については、「無利子奨学金の運用状況を見つつ、将来的に導入を検討」となっています。

 

新制度における変換のモデルケース
(サンプル事例)

同資料では下の如きモデルケースを掲げ、新所得連動返還型奨学金制度を解説しています。
-----------------------------
返還のモデルケース(サンプル事例)
・私立大学 自宅通学生
・無利子奨学金
・貸与総額:259万2千円(月額5万4千円
・貸与期間:48月4年
-----------------------------
当サイトもこれに倣って進めてまいります。
上記(第一次まとめ)を元に図を再構成しました。

↓ ↓ ↓

 

奨学金新制度

 

 

上の図でおわかりいただけるとおもいますが、
補足しておきます。

 

新制度では
定額返還型(現行制度)と新所得連動返還型どちらかを選ぶことが出来ます。
貸与開始時に上記2つの返還方法から一方を選びます。
選んだあとでも貸与終了時(卒業時)まで変更が出来ます。

 

新所得連動返還型では、
年収が約144万円未満の場合は 返還額が毎月2000円(最低返済額)。
年収が144万円以上の場合は  課税所得の9%が年間返還額です。
でも、
年収がゼロ円でも、最低返済額2000円はかかります。
年収300万円以下の場合は最長10年間の返済猶予が認められます。

 

新所得連動返還型の対象者は
高等専門学校、大学、短期大学、専修学校専門課程、大学院の学生・生徒です。

 

新所得連動返還型は
有利子有奨学金(第二種奨学金)では利用できません
今のところ無利子奨学金(第一種奨学金)のみ利用できます。

 

保証制度は
原則として機関保証ということになっています。

 

新制度の選び方
新所得連動返還型は、卒業後の所得が低い奨学生にとっては、
定額返還型より返還負担が軽くなります。
ただし、年収が少ない場合は返還期間が長くなることは自明です。
極端な場合ですと、生涯かかっても返しきれない、ということもあるかもしれません。

 

 

新制度の概要

 

このページでは、
「新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について(第一次まとめ)」
に基づいて、説明してまいりました。
慎重を期したつもりですが誤謬や錯誤があるといけません。詳しくは文科省の下記pdfでご確認ください。

 

■新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について(第一次まとめ)

 

新たな所得連動返還型奨学金制度の設計

 

 

(1)対象とする学校種
高等専門学校、大学、短期大学、専修学校専門課程、大学院

 

(2)奨学金の種類
無利子奨学金から先行的に導入(有利子奨学金については、無利子奨学金
の運用状況を見つつ、将来的に導入を検討)

 

 

(3)奨学金申請時の家計支持者の所得要件
申請時の家計支持者の所得要件は設けず、全員に適用可能とする

 

(4)貸与開始年度
平成29年度新規貸与者から適用

 

(5)所得に応じた返還額の設定及び返還を開始する所得額
所得が一定額となるまでは所得額にかかわらず定額(2,000円)を返
還し、一定額を超えた場合には所得に応じた返還額とする。ただし、返還が
困難な場合(災害、傷病、生活保護受給中、年収300万円以下の経済困難
等)は返還猶予を可能とする。

 

(6)最低返還月額
2,000円

 

(7)返還猶予の申請可能所得及び年数
申請可能所得は年収300万円以下、申請可能年数は通算10年(災害、
傷病、生活保護受給中等の場合は、その事由が続いている間は無制限)。ま
た、奨学金申請時に家計支持者の年収が300万円以下かつ本人の返還時の
年収が300万円以下の者については、申請可能年数を期間制限なしとする。

 

(8)返還率(所得に対する返還額の割合)
9%

 

(9)返還期間
返還完了まで又は本人が死亡又は障害等により返還不能となるまで

 

(10)所得の算出方法
課税対象所得=給与等収入−所得控除

 

(11)返還者が被扶養者になった場合の収入の考え方
返還者が被扶養者になった場合には、扶養者のマイナンバーの提出を求め、
提出がありかつ返還者と扶養者の収入の合計が一定額を超えない場合のみ、
新所得連動返還型による返還を認めることとする

 

(12)保証制度
原則として機関保証

 

(13)返還方式
新所得連動返還型及び定額返還型のいずれの返還方式とするか、貸与申込
時に学生が選択し、貸与終了時まで変更可能とする

 

 

予約型奨学金
入学金や授業料の減免制度も利用しましょう

 

大学生の2人に1人は利用しているといわれる奨学金ですが、
先ほども申しましたように、そのほとんどは日本学生支援機構奨学金です。

 

早稲田大熊講堂

日本学生支援機構の奨学金は貸与型ですが、
無利子と・有利子のタイプに分かれます。
有利子タイプは条件が緩く比較的借りやすいとはいえます。それに比して無利子のタイプは成績要因などの条件があります。

 

新所得連動返還の導入も今のところ無利子タイプに限られています。

 

以前取り上げましたが、
■大学へ行くのにはいくらかかるのか?(教育ローン申請の前に)
学費の高騰は家計に厳しくなっています。
日本学生支援機構2014年度調査では、私立大学4年間の学費は545万円、国立大学4年間で259万円となっています。

 

授業料の引き下げのためには、国庫助成金や運営交付金など補助金が必要でしょう。
今の国家財政ではそれは望めません。
さらに申せば、授業料の引き下げは高額所得家庭に有利な逆進的配分ではないか、という意見もあります。

 

となりますと、貧困層の学生支援のためには公的な給付型奨学金が望まれるところです。
これとて財源の確保と納税者の理解が必要不可欠です。

 

じつは、大学独自の奨学金や授業料免減制度は増えつつあるようです。
もちろん多くの給付型奨学金は成績優秀な学生向けであります。
しかし中には、受験生の数を増やす取り組みとして
いわゆる「予約型の奨学金」を取り入れる大学も増えています。

 

たとえばよく知られている予約型奨学金として、早稲田大学の「めざせ!都の西北奨学金」があります。
さらに早稲田大学では2017年度入学者を対象に、奨学金制度を見直す予定だそうです。

 

ほとんどの大学が、入学金や授業料に何らかの減免制度があります。
志望大学にあるこれらの制度を調べえ、利用することも一法ではないでしょうか。
(このページ下に一例として明治大学の奨学金を掲げました。たくさんの奨学金を参考としてご覧ください。)

 

 

■■予約型奨学金がある私立大学の例■■
【関東】

早稲田大学
         「めざせ!都の西北奨学金」

//www.waseda.jp/inst/scholarship

慶応義塾大学
          「学問のすゝめ奨学金」

//www.gakuji.keio.ac.jp/life/shogaku/gakumon.html

上智大学
          「上智大学新入生奨学金」
          「ジョン・ニッセル杯奨学金」

//www.sophia.ac.jp/jpn/studentlife/scholarship/scholarship_0001

明治大学
          「特別給費奨学金」

https://www.meiji.ac.jp/campus/shougaku/juken.html

立教大学 
          「自由の学府奨学金」

https://www.rikkyo.ac.jp/invitation/admissions/scholarship/academy_of_freedom

中央大学 
          「中央大学予約奨学金」

//www.chuo-u.ac.jp/admission/prospect_stu

法政大学 
          「チャレンジ法政奨学金」

//www.hosei.ac.jp/campuslife/shogaku/NEWS/20140416.html

青山学院大学 
          「地の塩、世の光奨学金」

 

//www.aoyama.ac.jp/life/expenses/scholarship_prospective/

 

【関西】

関西学院大学
         「ランバス支給奨学金」

//www.kwansei.ac.jp/students/students_001219.html

関西大学 
    「学の実化(じつけ)」

//www.kansai-u.ac.jp/gakusei/scholarship

立命館大学 
  「入学試験受験前予約採用型奨学金」

https://ritsnet.ritsumei.jp/fee/scholarship/prescholarship.html

同志社大学
    「同志社大学奨学金」

//www.doshisha.ac.jp/scholarships

愛知大学  
    「知を愛する奨学金」

//www.aichi-u.ac.jp/life/info-scholarship.html

 

■■予約型奨学金がある国公立大学の例■■

東京大学 
「東京大学さつき会奨学金」

//www.u-tokyo.ac.jp/stu02/h02_12_j.html

新潟大学 
    「輝け未来!! 新潟大学入学応援奨学金制度」

//www.niigata-u.ac.jp/campus/economic/scholarship

佐賀大学 
  「かささぎ奨学金」

//www.sao.saga-u.ac.jp/gakuseiseikatu.html

 

■■緊急対応型奨学金(給付型)がある大学の例■■

早稲田大学
「早稲田大学緊急奨学金」

//www.waseda.jp/inst/scholarship/assets/uploads/2016/04/160421_16spring_kinkyu_youkou.pdf

慶応義塾大学 
   「2000年記念教育基金」教育援助一時金

//www.gakuji.keio.ac.jp/life/shogaku/sudden.html

明治大学 
  「明大サポート奨学金〜めいじろうからの贈り物〜」
「明治大学連合父母会緊急給費奨学金」

https://www.meiji.ac.jp/campus/shougaku/zaikou.html

横浜市立大学
    「緊急応急対応型授業料減免」

//www.yokohama-cu.ac.jp/life/scholarship/economicaid/kinkyugenmen.html

 

 

 

 

 

 

こんなにたくさんある、奨学金の種類

例えば
明治大学の奨学金に関するサイトでは
https://www.meiji.ac.jp/campus/shougaku/zaikou.html

 

■日本学生支援機構第一種奨学金、
■日本学生支援機構第二種奨学金
■日本政策金融公庫(国の教育ローン)
■社会福祉協議会(修学資金)
■日本学生支援機構 緊急採用(第一種)・応急採用(第二種)

 

などとともに次の奨学金が記載されています。

 

明治大学給費奨学金
■金額:年額(単年度採用):20〜40万円,もしくは授業料年額2分の1相当額(未来サポーター給費奨学生) 
■返還不要
明治大学貸費奨学金(※2017年度採用をもって募集を停止予定)
■金額:年額(単年度採用):授業料年額2分の1相当額
■返還:卒業後10年賦(無利子)
明治大学創立者記念奨学金 
■金額:年額(単年度採用):3万円 
■返還不要
明治大学創立者記念奨学金
■金額:年額(単年度採用):3万円〜50万円(種類による)
■返還不要
明治鋼業奨学金
■金額:年額(単年度採用):3万円
■返還不要
明治大学スポーツ奨励奨学金
■金額:年額(単年度採用):授業料年額相当額もしくは授業料年額2分の1相当額
■返還不要
明治大学学業奨励給費奨学金
■金額:(1)成績優秀者対象(2)年額(単年度採用):30万円
■返還不要
明治大学校友会奨学金
■金額:(1)成績優秀者対象(2)校友会からの寄付金総額に応じて決定(単年度採用)
■返還不要
明治大学連合父母会一般給付奨学金
■金額:年額(単年度採用):25万円
■返還不要

 

 

明治大学特別貸費奨学金
■金額年額(在学中一度限り):授業料年額相当額または授業料年額2分の1相当額
■返還:卒業後10年賦(無利子)
明治大学災害時特別給費奨学金
■金額:年額(在学中一度限り):授業料年額相当額もしくは授業料年額2分の1相当額(被害状況による)
■返還不要
明治大学連合父母会緊急給費奨学金
■金額:年額(在学中一度限り):20〜40万円
■返還不要
明大サポート奨学金 〜めいじろうからの贈り物〜
■金額年額(在学中一度限り):授業料年額4分の1相当額
■返還不要
明治大学連合父母会特別給付奨学金
■金額:文系学部:年額40万円、理系学部:年額70万円
■返還不要
以下【大学院】略

 

また
「家家計基準オーバー・成績不振などの理由で奨学金の利用ができなかった場合でも申し込みが可能」ととして、
提携金融機関の『教育ローンも紹介されています。

 

提携金融機関(金融機関から個人へ入金タイプ)
みずほ銀行
三菱東京UFJ銀行
三井住友銀行
提携金融機関(金融機関から大学への学費直接入金タイプ)
株式会社オリエントコーポレーション『学費サポートプラン』
楽天銀行 大学専用『教育ローン』

 

以上、明治大学のホームページより
在学生の方へ | 明治大学
https://www.meiji.ac.jp/campus/shougaku/zaikou.html

 

それぞれ、資格や条件はあるものの、
一大学だけでもこれだけの奨学金の種類があるのですから、
志望校の奨学金について調べておくことも必要でしょう