奨学金と教育ローンを比べてみる

奨学金と教育ローンを比べてみる

「奨学金と教育ローン」2015年版 【その1】奨学金と教育ローンを比べてみる 「教育資金」は「住宅資金」「老後・・・
 

奨学金と教育ローンを比べてみる

「奨学金と教育ローン」

【その1】奨学金と教育ローンを比べてみる

 

教育ローンと奨学金どちら

教育資金」は「住宅資金」「老後資金」とともに
人生における3大支出と言われております。
とりわけ大学入学時にかかる費用は、家計に大きな負担を強いられています。

 

教育費の捻出に、教育ローンや奨学金をご検討のご家庭も少なくはありません。
教育ローンの利息に比べると、奨学金は無利子あるいは低利子ですが、
そこに落とし穴は無いのでしょうか。

 

当サイトでは
教育ローンと奨学金の比較について、過去にもご紹介してまいりました。
教育ローンと比較しながら奨学金のメリット・デメリットをあらためて考えてみましょう。
「奨学金と教育ローン」

 


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このページの目次


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日本学生支援機構(JASSO)の奨学金

 

奨学金には
各大学の奨学金制度や地方公共団体、奨学事業実施団体の奨学金制度など
さまざまな奨学金があります。
参考記事 (当サイト内)もご覧ください。
↓ 
さまざまな奨学金

 

 

さまざまな奨学金があると申しましたが
最も知られていて利用者がおおいのは、
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。
平成24年度の利用者は約134万人となっています。

 

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は 
「貸与型」ですから「返還義務」があります。

(「給付型」奨学金につきましては後述します。)

 

日本学生支援機構では全国の国公私立大生を対象に
2年に一度「学生生活調査」をおこなっています。
昨年(平成26年度)に行われた調査の結果も、まもなく公表されるでしょう。

 

平成24年度調査結果では
昼間部 大学生の52.5%が奨学金を受給しています。
大学生の半分以上は、奨学金を利用しているということになります。

 

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の奨学金は
第一種(無利子)第二種(有利子)があります。
その違いは下の表をご覧ください。

 

 

日本学生支援機構(JASSO)奨学金第一種(無利子)第二種(有利子)の比較表

 

利率
2015年5月の実績
貸与金額
月額
所得基準目安
4人世帯の場合
成績要件
(学力基準)
返済期間
(卒業後)
第一種
(無利子)
無利子 3万〜
6万40000円
例・給与所得者年収781万円以下など 高校の成績の平均値が5段階評価で3.5以上など 最長20年
第二種
(有利子)
固定方式で年0.69%
見直し方式で年0.20%
3万〜12万円 例・給与所得者年収1124万円以下など 高校の成績が平均水準以上など 最長20年

 

 

日本学生支援機構(JASSO)奨学金の概要と特徴

 

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は
「貸与型」ですから返済義務があります。

 

第一種(無利子)と、第二種(有利子)の2種類があります。
それぞれの申し込み基準は上の表にあるように、
第一種(無利子)の場合は相当厳しくなっています。
第二種は3%を上限とした有利子ですが、
在学中及び返還期限猶予中は無利息です。

 

第二種の選考基準は第一種に比して緩く、
かつ貸与額の選択幅が広いので多くの利用者がいます。
約100万人が利用しています。

 

入学時特別増額貸与奨学金制度
日本政策金融公庫の『国の教育ローン』に申し込んだけれども、利用できなかった人を救済するために「入学時特別増額貸与奨学金」の制度があります。
希望により10〜50万円を、入学時の基本月額に増額して受け取ることが出来る制度です。

 

※『国の教育ローン』の審査に通った人、申し込まなかった人は利用できません。
入学後の貸与です。入学前ではありません。奨学金では、納付期限に間に合わない?

 

毎月、一定額の貸与金が支払われます。
進学先が国公立か私立か、あるいは
自宅からの通学か、自宅外かによって貸与額が異なります。
(最高は6万4000円。貸与金額はの表をご覧ください

 

返済は卒業後。
第二種(有利子)の利子は
利率固定方式 利率見直し方式 とがあります。
2015年5月の実績では、利率固定方式で年0.69%利率見直し方式では年0.20%です。2014年3月では、利率固定方式で年0.82%、利率見直し方式で年0.20%でした。
利率は年3%を超えないよう定められています。

 

奨学金の利息
教育ローンの利息と比べてみますと、
国の教育ローンの固定金利が年2.15%(平成27年7月10日現在)+保証料です。
民間の教育ローンはさまざまですから一概には申せませんが、
大手銀行の教育ローンが概ね年2?3%代(金利変動タイプ)でしょうから、
奨学金は教育ローンに比べて、かなり低い利率と申せましょう。

 

奨学金の成績要件
教育ローンには成績要件はありませんが
奨学金には成績要件があります。

 

第一種奨学金(無利息)の学力基準
(1) 高等学校又は専修学校高等課程の1年から申込時までの成績の平均値が3.5以上
(2) 高等学校卒業程度認定試験もしくは大学入学資格検定に合格した人、又は科目合格者で日本学生支援機構の定める基準に該当する人

 

第二種奨学金(利息付)の学力基準
(1) 高等学校又は専修学校(高等課程)における学業成績が平均水準以上と認められる者
(2) 特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる者
(3) 大学における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者
(4) 高等学校卒業程度認定試験(大学入学資格検定)に合格した人、又は科目合格者で日本学生支援機構の定める基準に該当する人

 

 

第一種奨学金(無利息)の学力基準資格者は
第一種奨学金第二種奨学金併用してうけることが出来ます。

 

 

奨学金・家計基準について
家計の基準額は、世帯人員、就学者の有無等によって異なります。
家計支持者(父母。父母がいない場合は代わって家計を支えている人)の収入・所得金額が選考の対象となります。収入・所得の目安は、おおよそ次の表の金額以内です。

 

 

◉第一種奨学金(無利息)の収入・所得の上限額の目安

 

世帯人数 給与所得者 給与所得以外
3人 692万円 286万円
4人 781万円 349万円
5人 896万円 464万円

 

 

 

 

◉第二種奨学金(利息付)の収入・所得の上限額の目安

 

世帯人数 給与所得者 給与所得以外
3人 1,033万円 601万円
4人 1,124万円 692万円
5人 1,274万円 842万円

 

 

 

日本学生支援機構奨学金の貸与額

 

 

 奨学金 平成24年度入学者の貸与月額
区分 毎月の貸与額
第一種奨学金 大学 国・公立 自宅通学 3万円または4.5万円
自宅外通学 3万円または5.1万円
私立 自宅通学 3万円または5.4万円
自宅外通学 5万円または8.8万円
大学院 修士課程 8万円または12.2万円
博士課程 3万円または6.4万円
第二種奨学金 大学 3万円、5万円、8万円、10万円、12万円から選択
大学院 5万円、8万円、10万円、13万円、15万円から選択

 

 

奨学金と教育ローンを比べてみる

 

ここでは
日本学生支援機構(JASSO)奨学金と
国の教育ローン を比較してお話しします。

 

下の表は
国の教育ローンと日本学生支援機構(JASSO)奨学金の概要を比較したものです。

教育ローンと奨学金の比較表
 教育ローンと奨学金の比較表
国の教育ローン 奨学金
申請者 保護者 学生本人
保証人

教育資金融資保証基金

または連帯保証人による保証

機関保証制度

または人的保証制度

貸付(貸与)方法

生徒1人につき300万円以内の

一括貸付

月々定額の貸付

↑貸与額はこのページ内上の表を参照↑

貸付(貸与)時期 入学前も可

入学後

(申し込みは入学前も可)

成績要件 成績要件無し 成績要件あり
利率

年2.15%

母子家庭:年1.75%
  

(平成27年7月10日現在)

第一種奨学金:無利子

第二種奨学金:年3.0%が上限 (2015年5月の実績は
・固定方式で年0.69%,
・見直し方式で年0.20%)

(在学中及び返還期限猶予中は無利息)

 

上の表で比較のあらましはおわかりいただけるとおもいます。

 

夫々の違いや大きな特徴は
既に申しましたが、もう一度まとめておきます。

 

奨学金は学生本人へ貸与、学生自身が返済
教育ローンは保護者が借り、保護者が返済

 

利息につきましては奨学金の方がだいぶ低い利率という現状です。

 

奨学金には成績要件があり、教育ローンにはありません。

 

奨学金も教育ローンも収入基準があります。

 

奨学金は申し込み時期が定められ、入学金など初年度納入金には間に合いません。
教育ローンはいつでも申し込みできます。

 

奨学金の返済開始は卒業後本人が。
教育ローン借入後翌月または翌々月から返済開始。ただし在学中の元金据置の方法もあります。

 

奨学金(貸与型)は教育ローン同様、借金であるという認識が必要ですね。

 

貸与型の奨学金の返済は卒業後からです。
返済が困難な場合の返済猶予手続きもあります。
一定の条件を満たせば最長10年、返済をのばすことが出来ます
第一種奨学金(無利息)の場合は、年収300万円に届かなければ、返済猶予は無期限となるケースもあり得ます)
返済猶予は前もって手続きしなければなりません。手続きなしで返済を怠ると延滞金が生じます。
3ヶ月以上の延滞は信用情報機関への登録となります。となりますと将来、ローンなどの審査に不利ということも起きてくるかもしれません。

 

 

「奨学金と教育ローン」【その2】予告
「奨学金と教育ローン」【その2】では以下の記事(仮題)を準備しています。
・奨学金「給付型」と「貸与型」(準備中)
・給付型奨学金は返済不要 (準備中)
・教育ローンと奨学金の併用(準備中)

 

 

 

 

 

■参考資料
文科省発行:(独)日本学生支援機構(JASSO)奨学金貸与事業の概要
//www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/052/052_01/siryou/__icsFiles/afieldfile/2012/06/13/1321934_02_1.pdf#search='%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%AD%A6%E7%94%9F%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%A9%9F%E6%A7%8B%E8%B2%B8%E4%B8%8E%E8%80%85+%E6%96%87%E7%A7%91%E7%9C%81+%E4%BA%88%E7%AE%97%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9'