教育ローンには民間金融機関の教育ローンと国の教育ローンがありますが、どちらもその詳しい審査基準は公開されていません。とはいえ、教育ローンに限らずどのようなローンであっても、借り手が約束どおりきちんと返済してくれるかどうかを見極めるのための審査ですから、審査の基本的な事項は共通しているはずです。また審査に通らなかった事例から、はかり知ることができる共通事項もあります。
このページでは教育ローンの審査に通らない理由から、落ちた場合の対処まで考えてまいります。申し込みの前にご一読いただき、ご参考にしてください。
■記事更新」2021年12月10日
上述しましたように、金融機関など教育ローンの審査基準を詳しく公開することはまずありません。問合せをすれば、家計状況などから総合的に判断する、という答えが異口同音に返されます。
しかしながら、例えば借り手の収入基準は国の教育ローンは上限が、民間金融機関では下限があって真逆な決まりです。それでも審査において何を重視するか揺るがない基本的事項があります。
まずは年齢・勤務先・雇用形態・勤続年数・年収・他社借入件数・借入総額など一般的な共通項目からチェックしてみましょう。
民間金融機関の教育ローンは申込者の年齢を20歳から65歳と決めているところが多くみられます。JAバンク教育ローンのように最終償還時年齢を71歳未満としているところもあります。
国の教育ローンは申込者(学生の保護者)の年齢制限はありません。学生から見て6親等内の血族、配偶者および3親等内の姻族」となっていますから、おじいさん、おばあさん、兄弟姉妹、おじさん、おばさんでも申込人になれます。学生本人が申込人となるには成人していて、勤務収入などの安定した収入と独立して生計を営んでいる必要があります。
■教育ローン申し込み者の年齢制限
教育ローンの種類 | 日本政策金融公庫 国の教育ローン |
民間金融機関 教育ローン |
JAバンク 教育ローン |
中央ろうきん 教育ローン |
---|---|---|---|---|
教育ローン申し込み者の |
●申込者(学生の保護者)の年齢制限なし |
●満20歳以上 |
●20歳以上 ●最終返済時年齢満71歳未満 |
●満18歳以上満65歳未満 ●最終返済時年齢満76歳未満 |
安定した年収がある人が対象となります。民間の教育ローンは前年度年収が200万円以上としているところが多いようです。所得制限の記載がない教育ローンもありますが同程度以上の年収が望ましいといえるでしょう。いずれにしましても「安定した年収」が審査のポイントだということになります。(JAバンクは年収150万円以上)
国の教育ローンは民間金融機関とは異なり収入や所得の下限はありません。年収が少ない方でも融資が受けられます。むしろ世帯年収(所得)の上限額が定められており、それより収入がある方は融資の対象とならない場合があります。
その上限額は、子どもの人数に応じた世帯年収(世帯主と配偶者等の収入も含む)で決められています。子どもが1人の場合は世帯年収の上限額は790万円(事業所得所得600万円)です。子ども2人で890万円(690万円)です。
子どもが1人または2人の場合、下の要件の一つ以上に該当すれば世帯年収上限が990万円(790万円)まで緩和される措置があります。(↓下のクリックで開きます)
■子供の人数世帯年収(所得)の上限額
1人790万円(590万円)
2人890万円(680万円)
3人990万円(770万円)
4人1,090万円(870万円)
5人1,190万円(970万円)
■子どもが2人以内の場合(世帯年収(所得)上限額の緩和条件)
1. 勤続(営業)年数が3年未満
2. 住まいの居住年数が1年未満
3. 世帯に自宅外通学(予定)者がいる
4. 借入申込人またはその配偶者が単身赴任
5. 海外留学資金としての申し込み
6. 年収(所得)に占める借入金返済の負担率が30%を超える
負担率は【今後1年間の借入金返済額÷年収(所得)】
7. 「要介護(要支援)認定」を受けている親族などがいて、その介護に関する費用を負担
8. 大規模な災害により被災された方
■災害特例措置の実施内容(
9. 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて世帯の収入または所得が減少した方。
出典:https://www.jfc.go.jp/n/finance/ippan/joken.html
教育ローン申込み者の返済能力を金融機関が判断するうえで、収入の安定性は重要なことです。勤務先が倒産リスクの高い会社であったり、申込者本人の収入の柱がパートタイムやアルバイトだけ、あるいは年金生活ですと審査のうえで不利であったり、あるいは不可とする場合もあるようです。もちろんパートタイムやアルバイトでも審査が通ることもありますのであきらめる必要はありません。
↑画像:横浜銀行の教育ローン:アルバイトやパートの方(学生を除く)も審査に通る場合もあります。https://faq.boy.co.jp/300
正社員でも「収入の安定性」ということでは、勤続年数も加味されて判断されます。中には勤続1年以上が条件などと明記してある場合もあります。
関連性や明確な理由のない転職回数が多い場合も審査が厳しくなる材料ではあります。ヘッドハンティングとか、資格やキャリアを活かすための転職と判断でき、安定した収入が見込まれるるのでしたら問題は少ないはずです。
「収入の安定性」でいえば、理想は安定した勤務先の正社員で、勤続年数が長く、収入が多い方ということになります。すべてに当てはまれば良いのですが、そのようにはいかないというのが現実でしょう。ただこれらの理想から遠けれれば、応じて低いポイントとして審査されることになる、ということは理解しておきましょう。
国の教育ローンの申し込みは収入に下限を決めていませんから、職種や雇用形態で申し込みが制限されることはないでしょう。正社員でなくても、アルバイトやパートタイムでも申し込みはできます。ただしあくまでもローンですから、審査では返済能力として収入の安定性を問われることは民間と同様です。
国の教育ローンは家庭の状況に応じて優遇制度もありますから、多少の不安材料があっても、申し込んでみたらいかがでしょうか。その前に一度オンラインシミュレーションを利用し、返済計画がたててみてください。
・国の教育ローン用 オンラインでシミュレーション
→https://www.jfc.go.jp/n/finance/ippan/sim.html
・国の教育ローンコールセンター→0507-008656
教育ローンの審査において居住形態や居住年数はどの程度の影響があるかということですが、戸建てやマンションなど持ち家の場合は審査での高ポイントとなるでしょう。また住宅ローンの返済が進んでいればそれも好印象として加算されます。
しかし住まいが民間や公営の賃貸であろうとも、それ自体が理由で通らないということはありません。賃貸が有利となることはありませんが、家賃をきちんと払い続けていれば問題はありません。
居住年数についても、申し込み時住所の居住年数が長いほうが審査のポイントとしては有効となるしょう。
教育ローンに申し込んだが審査に落ちた、という事例を見てみますと共通して見えてくるものがいくつかあります。教育ローンの審査に通らない事例からその理由と思われる項目を以下に掲げます。それぞれを検証していきましょう。▼
↓
信用情報機関 名 |
加盟しいている金融機関 |
---|---|
潟Vー・アイ・シー(CIC) |
主にクレジットカード会社系 |
鞄本信用情報機構(JICC) |
消費者金融系や商工ローン会社系など |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) |
銀行系金融機関 |
情報開示で確認できる内容として、例えばシー・アイ・シー(CIC)では、次のように掲載されています。
1.クレジット情報
CICに加盟するクレジット会社等と契約した、クレジットやローン等の契約内容や支払状況、残高などの情報です。
契約した会社名/氏名/生年月日/電話番号/契約の内容/契約年月日/契約額/請求された額/入金した額/残高/返済の状況/入金の状況など
2. 申込情報
新規にクレジットやローン等を申し込んだ際に、CICに加盟するクレジット会社等が支払能力を調査するために確認した情報です。
申し込んだ会社名/氏名/生年月日/電話番号/確認した日/契約予定額/申し込んだ商品の内容など
3.利用記録
CICに加盟するクレジット会社等が、クレジットやローン等の利用途上などにおける審査のために、信用情報を確認した記録です。
利用した会社名/氏名/生年月日/電話番号/確認した日/確認した目的など
4. 参考情報
CICが独自に収集した情報で、ご本人がCICに申告した情報や日本貸金業協会から登録を依頼された情報です。
氏名/生年月日/電話番号/申告した内容/コメントなど
他社からの借入の数、借入件数が多い場合も審査において不利となります。
カードローンやキャッシングなどを複数利用している場合では、それぞれの金額が少ないとしても、借入の枠を利用していることと判断されるでしょう。借入をしていない場合でもたくさんのカードローンやキャッシングを契約している場合は不利になる場合もありますので、必要のないものは解約して整理しておいたほうがよろしいでしょう。
クレジットカードのキャッシング利用分やカードローンは借入状況に含まれますが、日常使用しているクレジットカードのショッピングでの利用分は借入ではありません。きちんと引き落としができていれば問題はありません。
日本学生支援機構の奨学金は他社借り入れに含まれるのかという疑問をお持ちの方が多いようです。これは、奨学金の貸与をうける際に「個人信用情報の取扱いに関する同意書」を提出しますのでそのように思われるのかもしれません。
しかし奨学金は学生本人が借り、卒業してから返済を始めるものです。教育ローンは親御さんが借入しますので、子息の借り入れは他社借り入れに該当しないのが通常です。ただし教育ローンを申し込む親御さんご自身の奨学金返済が残っているのでしたら、他社借り入れに該当しなくとも申告しておいたほうがよろしいでしょう。
奨学金を返還中に3か月以上延滞があるとその内容は個人情報として個人信用情報機関に登録されています。そのようなことがありますと教育ローンの借入れ審査にはきわめて不利な要件となります。
コロナ禍で収入減など経済的な理由で奨学金の返還が困難になった場合は、救済制度が利用できます。(● 在学猶予、● 減額返還、● 返還期限猶予)
これらの制度を速やかに申請して、返還の延滞は避けることが肝心です。個人信用情報機関に延滞者として登録されたら、教育ローンの審査も通らないでしょう。
■当サイト内参考記事≫奨学金返済の減額返還と返還期限猶予
●参考:日本学生支援機構 奨学金の返還に関する各種制度 救済制度
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan/houhou/index.html
●参考:日本学生支援機構 個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/entai/kojinjoho.html
●参考:個人信用情報の取扱い(予約採用)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/yoyaku/koshin.html
公共料金の滞納などがすぐさま信用情報に関わることはないでしょう。公共料金をクレジットカード払いにしている場合の滞納が続けば、信用情報に載ることもあります。
ガス水道電気代などの公共料金や、家賃の支払いが遅れていると教育ローンの審査に落ちるケースがあります。とくに国の教育ローンの借り入れ経験者の多くは、「6か月間の公共料金の支払いはきちんとしておくべきだ」とおっしゃいます。公共料金の支払いがわかる書類の追加提出を求められた方もいます。
国の教育ローン審査では、公共料金を滞る人は教育ローンの返済も滞る恐れがあると懸念するのでしょう。それは教育ローンの必要書類からも、うかがい知ることができます。次の項目で民間教育ローンと国の教育ローンの必要書類をそれぞれ触れておきますので確認してください。
教育ローン審査のための必要書類は民間も国の教育ローンも基本的には他のローンの書類と変わりません。目的ローンですから使いみちのわかる書類が必要になります。
民間金融機関と国の教育ローンの必要書類を下に↓それぞれ掲げました。
金融機関によって若干異なることがあります。一般的には次のような書類となります。下に掲げた書類は契約までに必要と思われるものです。仮審査の申込時には本人確認書類と健康保険証などで足りる場合が多いでしょう。
民間金融機関の教育ローン審査の必要書類《例》
●民間金融期間の教育ローン / 申し込みから融資までの手順《例》
国の教育ローン必要書類
国の教育ローンは必要書類が少し多いような印象があるかもしれません。このほかに、追加書類等の提示・提出を求められることがあります。個人的な感想ですが、追加書類を求められる場合は、それに不備がなければ、融資実行の確率はかなり高くなると思います.。
「審査が甘い教育ローン」、「審査がゆるい教育ローン」はあるのか、あるいは「教育ローンの審査は厳しい」のかと、インターネット検索で調べる方が相当数いらっしゃるようです。
どこの金融機関もそれぞれ審査基準があり、それを通過できなければ融資をしてもらえません。審査基準には複数の項目がありそれらを総合的に見て判断することになります。
審査基準のうち年収に関することでしたら、国の教育ローンはゆるい、甘いということになるかもしれません。収入の上限が決められており、むしろ収入が多すぎる場合は融資をしてもらえません。【国の教育ローン世帯年収の上限額は子ども一人の場合790万円(所得600万円)以下】
■サイト内参考記事≫国の教育ローン世帯年収(事業所得)の上限
一般に民間の教育ローンで審査がゆるい、甘いといわれるものは金利が高いということになります。しかし国の教育ローンは年1.65%(令和3年11月1日現在)の低金利ででありながら年収に関しては甘い審査であるといえます。母子家庭父子家庭には特例措置もあります。
また労働金庫(ろうきん)の教育ローンも「安定継続した年収(前年税込み年収)が150万円以上ある方」(中央ろうきん)となっていますから、年収に関しては審査がゆるい、甘い教育ローンといえるかもしれません。
■サイト内参考記事: ろうきんの教育ローンと審査【2021年・更新】
教育ローンや住宅ローンなど目的別ローンの金利は、フリーローンやカードローンに比べて低めに抑えられています。前述しましたように、金利が低いローンは審査がより厳しくなります。教育ローンはカードローンやキャッシングのように審査がゆるく即日融資というわけにはいきません。
ここまでのお話しで教育ローンの審査に落ちる方というのは自ずとおわかりになると思います。端的に申せば教育ローンの審査に落ちる理由はその審査基準にとどかなかったことになります。
国の教育ローンのwebサイトのよくあるご質問には「審査基準を教えてください」の回答としては次のように掲げられています.
ご提出いただいた資料などをもとに、お客さまのご勤務(営業)の状況、ご収入(所得)の状況、お借入の状況、住宅ローンや公共料金のご返済・お支払の状況などから、総合的に判断させていただきます。
引用元:https://www.jfc.go.jp/n/faq/kyoqa_m.html
各項目を審査し、それぞれの項目の結果から総合して融資の可否を判断する、ということですね。それぞれの項目には加点または減点の基準点があるかもしれませんが、開示していないわけです。
■国の教育ローン 審査基準
民間金融機関の審査基準もそれぞれ独自の基準がありますが、おおまかにいえば同様の内容となるでしょう。大きく異なるのは国の教育ローンは収入の面で上限があるということです。民間金融機関の場合は、収入が多いほうが審査が通りやすいことになります。
・事故情報がある→信用情報機関に「金融事故情報」が記録されている。
・収入が少ない→返済能力が低いとみなされる
・収入が安定していない→大切なことは一時的な年収の高さより、収入が安定していること。
・返済負担割合が大きい→収入に見合った金額で借入れ申し込みをしなければならない。シミュレーションしてみる
・返済中ローン額が大きい→すでに住宅ローンなどがあり合計額が大きくなりすぎる。
・他社借り入れ件数が多い→キャッシング、カードローンなど複数の借入れや契約がある場合は整理しておいたほうが良い。
・公共料金などの滞納がある→公共料金や家賃などの滞納がある場合は審査に通ることは困難なケースが極めて高い。
・申込み内容の不備と虚偽申請→事実と異なる虚偽の申請は審査に通らない。
教育ローンの審査に通らなければ他の方法を検討しなければなりません。通らない理由は、それぞれの状況で異なりますから、その後の対処も一様ではありません。それでも将来を見据えて,進学をあきらめずに道を開く対策を立てることが肝心です。
国の教育ローンに通らなかった場合は、民間の教育ローンに申し込む方法もありますが、状況次第ではかえって難しい場合も考えられます。注意すべき点として、複数の民間金融機関の教育ローンに同時に申し込んでしまうことは避けるべきです。個人信用機関を通じてわかってしまうことですから、決して良い結果をもたらすものではありません。
いわゆる「フリーローン」は使いみちを問われませんから教育資金としても使えます。しかし教育ローンよりも金利が高くなっていることがほとんどです。
2020年4月から新しくなった修学支援の新制度「給付型奨学金+授業料減免」は「学ぶ意欲」が学業基準として認められだいぶハードルが低くなりました。世帯収入の基準はありますが、それも3段階あり、知っておくべき制度でしょう。当ページ内でも触れています。→2. 返済不要の給付型奨学金を申し込む
「給付型奨学金+授業料減免」の支援を受けられなければ、教育支援資金(社会福祉協議会)という方法もあります。奨学金なら日本学生支援機構だけではなく大学独自の奨学金もあります。また地方公共団体や公益財団法人や企業の奨学金なども少なくはありません。以下にそれらの概要をご案内します。経済状況が困難な家庭であっても、学ぶ意欲、進学への強い意志をもってチャンスをつかみましょう。▼
第二種奨学金 日本学生支援機構 |
国の教育ローン 日本政策金融公庫 |
---|---|
0.268% (利率固定方式) 0.003% (利率見直方式) (令和3年度5月貸与終了 の利率) |
1.66%(固定) (令和3年5月6日現在) |
上を合計しますと初年度合計が186万9,600円、4年間では669万8,400円になります。(入学金減免額は初年度だけ)
上の例は家計基準が第T区分という市町村民税所得割が非課税の世帯の場合で、手厚い支援となっています。
第U区分は満額の2/3程度、第V区分は第T区分の1/3程度の金額になります。
■たとえば世帯人数4人(本人、両親、弟:高校生)で、
父親の給与所得が409万円、母親の給与所得155万円とします。その合計世帯所得は564万円になり、この例の場合は第V区分となり満額の1/3程度が減免の対象です。
上の例と同じ家族構成で[父:給与所得336万円、母;給与所得155万円、計491万円]なら第U区分で2/3が減免、[父:給与所得295万円、母;給与所得155万円、計410万円]なら満額が免除となります。
例では父親の収入を多くしましたが、父・母の収入が逆でも同じことです。4人家族で世帯所得が564万円なら、ふつうの平均年収*に匹敵する数値でしょう。そのような家庭でも授業料の1/3が免除になり給付型奨学金も受けられます。これらの制度をご存知なく、あるいは収入基準などの詳細がわからず機会を逸しているご家庭も少なくないようです。
*「平均年収に匹敵」としましたが、4人家族(子ども2人)の平均世帯年収は全国調査では「約750万円」です。これは高額所得者世帯も含んだ平均値です。実際には550万円程度がいちばん多い層で、実感としての平均値はこのあたりでしょう。
経済的に苦しい世帯であって基準に合えば、このように進学のための手厚い支援が受けられることになります。ぜひ活用しましょう。
■サイト内参考記事
●家計基準・支援区分(第T区分、第U区分、第V区分)については→【支援区分と収入基準】
●日本学生支援機構の給付型奨学金と減免支援
授業料等減免と給付型奨学金は対象となる学校が決められています。その対象校は令和3年12月1日に更新されています。大学・短大は98.1%、高専は100%、専門学校は74.9%の学校が対象となりました。国公・私立のほとんどの大学短大高専が対象校です。
対象校は↓のページで検索できます。
■支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧https://www.mext.go.jp/kyufu/support_tg.htm
■文部科学省 授業料減免及び給付型奨学金https://www.mext.go.jp/kyufu/
国の教育ローンが不採用になった場合には、「入学時特別増額貸与 奨学金」という制度があります。入学初年度に1回だけ10万円から50万円の範囲内で利用できます。返済は卒業後からです。
入学時特別増額貸与 奨学金は奨学金の1回目の予約採用時に申し込みます。国の教育ローンに申し込むことが前提条件です。国の教育ローンに通ればこの制度は利用できません。そちらを利用してくださいということです。
奨学金の予約採用申告で家計収入が一定基準以下の方は「国の教育ローン申込みが不要」で、「入学時特別増額貸与 奨学金」を利用できる場合があります。
ところが「入学時特別増額貸与 奨学金」も他の奨学金と同様に、支給は進学後になります。入学金の納付には間に合いません。
この対策としては、ろうきん(労働金庫)の「入学時必要資金融資」(最高50万円)があります。これは「入学時特別増額貸与奨学金」のお金が下りるまでの間、つなぎ資金としてろうきん(労働金庫)が貸してくれる制度です。金利は令和3年9月1日現在で年1.66%程度(固定)です。
■サイト内参考記事→ろうきん(労働金庫)の前借り制度
日本学生支援機構の奨学金や入学金・授業料の減免制度を説明しましたが、大学独自の奨学金制度や地方自治体あるいは奨学金事業実施団体等が行う奨学金もあります。
大学の奨学金では例えば神奈川大学給費生制度は4年間で最大880万円、返還不要の奨学金とかなり手厚いものもあります。
育英会を設立し学費の援助を行う民間企業もあります。トヨタグループの「女性技術者育成基金」やヤンマー株式会社の「山岡育英会」、YKKグループの「吉田育英会」などたくさんあります。
日本学生支援機構webサイトにはさまざまな奨学金制度を検索できるページがあります。令和3年12月2日現在、大学:406校、短期大学:132校、地方公共団体・奨学金事業実施団体等:887団体の奨学金が掲載されています。↓
■サイト内参考記事→たくさんある民間の奨学金
複数の奨学金を利用することを日本学生支援機構では禁止していません。ただし日本学生支援機構以外の奨学金では併用を禁止している場合もありますのでそれぞれの案内を確認してください。
進学や受験をあきらめずに、積極的にこれらの制度を利用しましょう。
「教育支援資金」は、生活福祉資金貸付制度の中のひとつで修学のための貸付です。
教育支援資金は、他の制度を優先して利用すべきだとしています。日本学生支援機構の奨学金を利用できる人はそちらを優先してくださいということになります。
全国の都道府県の市区町村にある社会福祉協議会を通じて「教育支援資金」と「就学支度金」を申し込むことができます。先に地域の民生委員に相談して申し込みをしてもよいでしょう。
必要な資金を他から借り入れることが困難な世帯が対象となっています。例えば市町村民税非課税世帯や生活保護基準の約2倍以内の所得である世帯等、が該当します。
貸付可能な金額は下の表のとおりですが、特に認められればその1.5倍の金額まで可能となっています。
■教育支援費
教育支援費貸付 |
・高等学校 |
高等専門学校 |
・短期大学 |
・大学 |
---|---|---|---|---|
35,000円 | 60,000円 | 60,000円 | 65,000円 | |
特に必要な場合 |
52,500円 | 90,000円 | 90,000円 | 97,500円 |
■就学支度費(入学時のみ)
就学支度費 |
・高等学校 |
高等専門学校 |
・短期大学 |
・大学 |
---|---|---|---|---|
500,000円 |
教育支援資金の申し込みから資金の交付までの手順は下のように行います。教育支援資金申し込みは年間を通して受け付けています。申し込みから資金交付まではおおよそ1カ月程度となっています。
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*審査に通らなければ資金は交付されません。
*地域により手順が異なる場合もあります。
*申請前に民生委員が自宅を訪問して面接を行う地域もあります。
返済期間は20年以内(最長14年の地域もあります)ですが、貸付相談時に返済計画を決めます。返済は卒業して6か月後から始めます。返済計画に沿って返済していれば無利子です。返済計画期間が過ぎると残っている元金に対して年利3.0%の延滞利子が加算されます。連帯保証人は原則不要ですが、世帯の「生計中心者」が連帯借受人となります。
原則として、新年度ごとに日本学生支援機構の無利子の奨学金と給付型の奨学金の申込をしなければなりません。奨学金の申請が通り支給決定されると教育支援資金の貸付は停止となります。
■都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(リンク集)https://www.shakyo.or.jp/network/kenshakyo/index.html