ゆうちょ銀行の住宅ローンは、現在独自のものはなく、ソニー銀行と新生銀行の住宅ローンを代理業務として行っています。
そのゆうちょ銀行が近々「フラット35」を取りあつかう事になりそうです。
住宅ローンの「フラット35」をご存知ですね。住宅金融支援機構(前身は住宅金融公庫)が民間の金融機関と共同連携して取りあつかっている住宅ローン商品です。固定金利・最長35年間の融資ですからその名があります。
新聞などの報道によりますと、ゆうちょ銀行は住宅ローン「フラット35」を取り扱うために、金融庁と総務省に認可申請をしました。(昨年2020年12月23日)
これが認可されれば今年2021年5月ごろには、ゆうちょ銀行41店舗の窓口で始める意向だそうです。
全国銀行協会は、ゆうちょ銀行の住宅ローン参入は「民業圧迫につながる」とするコメントを発表していますが、ゆうちょ銀行側は「民間金融機関への影響は限られる」と返しています。
いま、フラット35の融資額は年間約2兆3000億円余りあります。ゆうちょ銀行が扱うのは数百億円程度で、この額では民間金融機関への影響は少ないだろう、というのがゆうちょ銀行の説明です。
フラット35を取り扱うとなると、自ずと火災保険も扱う事になります。そのために損害保険の代理店業務の認可申請もしています。
ゆうちょ銀行は「フラット35」の申請と同時に「口座貸し越しサービス」の認可申請をも行っています。
「口座貸し越しサービス」というのは、例えば公共料金などの支払い引き落とし時などで、預金口座の残高不足が生じた場合に自動的に補って貸し付けするというものです。
ゆうちょ銀行の「フラット35」と「口座貸し越しサービス」の申請の背景には、スルガ銀行との業務提携の解消があるようです。スルガ銀行は投資用不動産融資の不正融資で金融庁から一部業務停止命令がありました(2018年10月)。その後、ゆうちょ銀行は業務提携を停止しています。(2019年6月)
ゆうちょ銀行は口座貸し越しを、2019年からスルガ銀行との提携で始める予定がありました。スルガ銀行との提携はなくなりましたので、独自での申請を行ったものと思われます。
フラット35についても、スルガ銀との提携時には、個人ローン代理業務として取り次いでいた経緯があります。個人ローン代理業務の中には「教育プラン」もありました。
今回の申請には「教育ローン」が含まれておらず、ゆうちょ銀行は教育ローンからしばらくは遠ざかったままとなるようです。