教育ローンの参考書

教育ローンの参考書

教育ローンや奨学金などをテーマにした実用書は多くはありません。
三冊を探しあて読んでみました。
それぞれの特徴と読みどころをご紹介します。
 

教育ローンの参考書

このページの目次

 

 

教育ローン 書籍

 

 

 

教育ローンや奨学金について書かれた本は、比較的少ない印象を受けます。
雑誌などで特集されることはありますが、体系的なものとなるとほとんど見当たりません。

 

そこで当サイトでは教育ローンに関連した本を探して
実際に読んでみました。
ご紹介するのは次の3冊です。

 

1.<年収300万円で子どもを大学に入れる方法 改訂新版
著者:石橋 知也
出版社:エール出版社
価格:1,365円(税込)
発売:2010年06月

 

2.子どもを大学に行かせるお金の話―年収200万でもあきらめない!
著者:久米忠史 
出版社:主婦の友社
価格:1,365円(税込)
発売:2012年05月16日

 

3.タダで大学を卒業させる法 即効篇―知らないなんて、モッタイナイ!
著者:吉本 康永
出版社:三五館
価格:1,300円+税
発売:2011年5月4日

 

これらの3冊は現在でもアマゾンで手に入りますし、
書店に注文することもできます。
ではそれぞれを見てまいりましょう。

 

 

 

年収300万円で子どもを大学に入れる方法 改訂新版

年収300万円で子どもを大学に入れる方法 改訂新版
●著者:石橋 知也●出版社:エール出版社●価格:1,365円(税込●発売:2010年06月

 

著者石橋知也氏はファイナンシャルプランナーで、
金融や教育費関連などの著書が19冊もあるそうです。

 

また、年間240件(270件)もの講演をなさっており、
その多くが教育費関連の内容だそうです。
年収300万円で子どもを大学に入れる方法 改訂新版
TV、ラジオなどメディアへの登場もあって、斯界では名が通った方です。
さて本の内容のご紹介です。 本書は全8章からなっています。
第1章では受験環境についてが、
第2章では受験時から入学、在学中の費用の実態が述べられています。
第3章は28ページからなる奨学金の説明です。
最も利用者が多い日本学生支援機構の奨学金に多くのページが費やされ、
一部ですが地方自治体、民間、大学など独自の奨学金にも触れられています。
4章では教育ローンの説明です。18ページあります。
日本政策金融公庫の国の教育ローンが主となります。

 

銀行などの教育ローンにつきましては、
個々の金融機関を取り上げるほどの紙幅がなかったのでしょう、
一般的な銀行の教育ローンの概要を紹介する事にとどめています。
書籍では様々な金融機関の教育ローンを比較して検討するのは至難なことかもしれません。

 

この章の末尾は次のように結ばれています。

入学時の費用を工面する方法は、教育ローン以外に方法はなかなか見当たりません。

ー中略ー

保護者にとっては、現状では、お金を貯めておくよりほか方法がないことも知っておいてください。

それを受けて
第5章ではいかに教育資金を準備するかを考察しています。
学資保険、積み立て預金、投資信託、外貨預金などについて触れ、
さらに、教育資金の運用についても踏み込んでいます。
踏み込むと申しましても特別な方法があるのではなく、
堅実な運用を提唱しています。
第6章。
大半の方たちにとって家計で最大なものは、
住宅ローンや家賃などの住居費という事になります。
その住居費を抑えるポイントを解説しています。
第7章は、
生命保険の見直しをして、教育費捻出の一助にしようという章です。
自動車保険,火災保険,損害保険,医療保険にも言及しています。
第5章から第7章まで、教育資金の準備から捻出へと
多岐にわたっての記述は
ファイナンシャルプランナーの面目躍如と言ったところです。
先ほども申しましたように一つ一つは特別な事ではありませんが
このように家計全体を見直すという事が、教育費の工面にとって大切な事でありましょう。
さて終章、第8章では
12のケーススタディが掲載されています。
父親がリストラされた家庭、生活保護を受けている母子家庭、新聞奨学生の例、夜間大学への進学例、特待生のケース、母子で努力した例、
支出を削減して教育費を捻出した例、進学先の提携ローンで入学費用を賄ったケース、
母親と離婚して別居の父名義で教育ローンを借りられた特殊なケース、
自己破産した保護者、入学時特別貸与奨学金を利用した例、など多彩です。

 

そして最後に銀行員としての経験がある著者からの、
銀行へ相談にいく際の注意点という事になっています。
以上、各章を簡単にご紹介しました。

 

著者がおっしゃるように
まとまった教育費を工面する手立ては
教育ローン以外にはなかなか見つかりません。

 

年収300万円で子どもを大学に入れる方法」と申しましても
当然ながら、格別な奥の手があるわけではなく、
奨学金や教育ローンをも考慮しつつ、
計画的な教育資金準備と家計の見直しに尽きるわけです。

 

奥の手はありませんが、
教育資金を考える上で順序立ててわかりやすい解説、
そして多くのケーススタディはお役に立つことと思います。
保護者のみならず、受験生本人にも間際ではなく早いうちに
この書をお読みになることをおすすめします。

年収300万円で子どもを大学に入れる方法 改訂新版 (

 

 

 

子どもを大学に行かせるお金の話 年収200万でもあきらめない!

子どもを大学に行かせるお金の話―年収200万でもあきらめない!
●著者:久米忠史●出版社:主婦の友社●価格:1,365円(税込)●発売:2012年05月16日

「奨学金」イコール「苦学生」というのは昔のはなしで、
いまや奨学金利用者の数は130万人を超え、そのイメージも大きく様変わりしています。
子どもを大学に行かせるお金の話―年収200万でもあきらめない!
著者は奨学金アドバイザーという職名のとおり、
奨学金について、深く掘り下げ詳しく述べらていらっしゃいます。

 

そして多くの章の末尾には
奨学金 わが家のケース」と題する相談実例が載っています。合計7つのケースです。

 

家族構成や収入貯蓄進路が異なる具体的な実例ですから、
奨学金の利用を考えている方や教育資金捻出に悩む方々にとって
大いに参考になるのではないでしょうか。

 

進学を控え、ご家庭の経済状況に不安はあるものの、
奨学金制度」のことを、詳しくはご存じではない保護者や学生本人には
うってつけの書籍でしょう。
ていねいに詳しく書かれていることがとても助かるはずです。

 

奨学金を受給できることになっている、と安心なさっている方も
内容に思い違いがあるといけません。一読をおすすめしておきます。

 

教育ローンについては第4章で取り上げています。
教育ローンと奨学金の違いについてが記載されています。

 

そのあたりはよくお読みいただきたいところです。
また6章の「奨学金の落とし穴とその対策」では
入学前に必要な費用は奨学金ではまかなえない」ことの対策として
国の教育ローンで賄うことや、
ろうきん(労働金庫)のつなぎ融資制度の解説があります。

 

しかし奨学金に比して教育ローンのその内容は
あまり深くは無いというのが読後の印象です。
ねがわくば、教育ローンにも深く言及した続編がほしいところです。

 

この書にたどり着くまでに著者を存じ上げませんでしたが、
複数のご著書やメディアへの出演、執筆や講演など
あるいは進学のための教育資金や奨学金の相談所をも開設して
多岐にわたり活躍なさっている方のようです。
著者のお人柄でしょうか
文章も読みやすく、わかりやすい進学費用解説書として好感のもてるご本です。
進学費用について、思いあぐねいている方、相談の術が見当たらないという方
ともかく、いちど本書を読んでみたらいかがでしょうか。

子どもを大学に行かせるお金の話
目次を写しておきます
はじめに
イントロダクション「奨学金は子どものためになる? ならない?」
第1章・気になる学費。進学するのにいくらかかる?
第2章・奨学金を借りる前に知っておきたいお金のこと
第3章・ブランドで大学を選ぶ時代は終わった!
第4章・進学費用対策の基礎知識
第5章・進学費用対策の応用編
第6章・奨学金の落とし穴とその対策
第7章・借りる前に知っておきたい!奨学金のこと
第8章・ほかにもある!いろいろな奨学金制度
第9章・働けながら学べて、経済的にもうれしい制度とは?
おわりに
子どもを大学に行かせるお金の話―年収200万でもあきらめない!

 

 

 

タダで大学を卒業させる法・即効篇 知らないなんて、モッタイナイ!

タダで大学を卒業させる法 即効篇―知らないなんて、モッタイナイ!
●著者:吉本 康永●出版社:三五館●価格:1,300円+税●発売:2011年5月4日

書名は
必ずしも著者ご自身がつけるものとは限らないだろうし、
センセーショナルで目立つ方が手に取ってもらえるかもしれない。
しかし
書名に期待しても内容が追いつかなければ逆効果です。
本書がそうだと言っているのではありません。

 

全くの「タダ卒」を期待している方はいらっしゃらないと思いますが、
多くの奨学金は返還しなければならない種類のものです。なかには返還不要の奨学金もありますが、それらを獲得するのは困難なことです。

 

さてこの本
書名は派手ですが、結構堅実な内容です。
著者の経歴を見ますと東京外語大中退、元・大学受験予備校講師で、
ご自身の体験と経験が本書の執筆のきっかけとなったとあります。

 

ローンを抱えた薄給(?)の身ながら
3人のお子さんを自宅外通学で大学を卒業させたそうです。
本書には多くの事例があり、
金がなくても大学へ行きたい!!と考える方の後押しをしてくれます。
入学してからの耐乏生活、アルバイト、寮生活、新聞奨学生の話など
エピソードの筆致もさることながら、著者の根底に流れるものは、
次の言葉に表れています。

 

『人生の耐乏生活なんて本当に知れている。
怖いのは、経済的貧しさよりも精神的まずしさなのだ』

「お金はないのに、なぜか幸せ」
「一緒に苦労しているときが華」
ともおっしゃっています。

 

教育ローンや奨学金等にももちろん言及していますし、
データなど実用性も重視はしていると思います。
それでもこの本の特徴は、
第4章 「タダ卒」経験者の告白 などが際立っているような気がします。
教育資金の問題で進学をまよっているのでしたら、
親子で読んでみるのもよいと思います。
勇気がわく書だとおもいます。
もくじ
序 章 「学費地獄」脱出への道
第1章 大学生になった息子へ
第2章 大学にいくらかかるのか?
第3章 タダで大学を卒業させる法
第4章 「タダ卒」経験者の告白
第5章 問われているのは家族の絆
第6章 「お金の大切さ」がわかる子どもの育て方
第7章 笑いと涙の「耐乏生活」マニュアル

 

具体的な方法論の記載例もご紹介しておきます(帯より)
 ・日本政策金融公庫の教育ローンマル秘活用術
 ・奨学金ダブル取得のウラ技
 ・究極貧乏でも「タダ卒」させる、4つの戦略
 ・児童手当・高校無償化の効果的な活かし方
 ・在学中の経済トラブル対処法
 ・お金の大切さがわかる子ども育て方
 ・親のための「明るい耐乏生活」講座 ……etc.

タダで大学を卒業させる法 即効篇―知らないなんて、モッタイナイ!

 

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著者・吉本 康永氏は
平成23年12月29日にお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。
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